双極性障害(躁うつ病)

双極性障害(躁うつ病)の症状と治し方|原因やうつ病との違い

【はじめに】気分の波は性格ではなく脳の機能障害です

自分の意思とは無関係に、気分の高揚(躁)と落ち込み(うつ)を繰り返してしまう。このコントロールできない気分の波に対し、自分の性格に問題があるのではないか、精神的に未熟だからではないかと悩み、自分を責めてしまう患者様が少なくありません。

しかし、双極性障害(かつての躁うつ病)は性格の問題ではなく、脳内の気分調整システムの機能障害です。糖尿病がインスリンの調整不全で起きるのと同様に、双極性障害も脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることで生じる病気です。

根性論や反省で治るものではありませんが、適切な薬物療法と生活療法を組み合わせることで、波を穏やかにコントロールし、社会生活を送ることは十分に可能です。この記事では、双極性障害のメカニズムと、誤診されやすいポイント、そして治療の具体的な進め方について解説します。

【はじめに】気分の波は性格ではなく脳の機能障害です

自分の意思とは無関係に、気分の高揚(躁)と落ち込み(うつ)を繰り返してしまう。このコントロールできない気分の波に対し、自分の性格に問題があるのではないか、精神的に未熟だからではないかと悩み、自分を責めてしまう患者様が少なくありません。

しかし、双極性障害(かつての躁うつ病)は性格の問題ではなく、脳内の気分調整システムの機能障害です。糖尿病がインスリンの調整不全で起きるのと同様に、双極性障害も脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることで生じる病気です。

根性論や反省で治るものではありませんが、適切な薬物療法と生活療法を組み合わせることで、波を穏やかにコントロールし、社会生活を送ることは十分に可能です。この記事では、双極性障害のメカニズムと、誤診されやすいポイント、そして治療の具体的な進め方について解説します。

双極性障害(躁うつ病)とうつ病の違い・見分け方

双極性障害は、うつ状態と躁状態(または軽躁状態)という2つの極端な状態を行き来する疾患です。治療において最も重要なのは、うつ病(単極性うつ病)との鑑別です。

なぜうつ病と誤診されやすいのか

双極性障害の患者様が病院を受診するのは、ほとんどの場合うつ状態できつい時です。躁状態の時は気分が良く、本人に病気の自覚がないため、受診につながりません。その結果、最初の診察ではうつ病と診断されるケースが非常に多くなります。

しかし、この2つは全く異なる病気であり、治療薬も正反対です。

・うつ病
気分を持ち上げる抗うつ薬が有効。
・双極性障害
気分の波を抑える気分安定薬が必要。

もし双極性障害の方が、誤ってうつ病の治療(抗うつ薬のみの服用)を続けると、急激に躁状態を引き起こしたり(躁転)、気分の波が激しくなったり(急速交代化)するリスクがあります。長年うつ病治療をしているが良くならない、薬を飲んだら逆にイライラがひどくなったという場合は、診断の見直しが必要です。

【症状チェック】双極Ⅰ型とⅡ型の特徴と診断基準

双極性障害は、現れる躁状態の程度によって2つのタイプに分類されます。

双極Ⅰ型障害:社会生活に支障が出る激しい躁

入院が必要になるほど激しい躁状態を伴うタイプです。

・ほとんど寝なくても疲れを感じない

・自分は何でもできるという万能感(誇大妄想)

・高額な浪費や、無謀なビジネス契約をしてしまう

・周囲の人に対して怒りっぽくなる(易怒性)

本人は絶好調と感じていますが、客観的には明らかに言動が逸脱しており、社会的信用を失うリスクが高いため、早急な医療介入(場合によっては保護入院)が必要です。

双極Ⅱ型障害:見過ごされやすい軽躁

Ⅰ型ほど激しくはない軽躁(けいそう)状態と、重いうつ状態を繰り返すタイプです。

・いつもより仕事がはかどる、アイデアが湧く

・人付き合いが良くなり、活動的になる

・睡眠時間が短くても元気

この軽躁は、本人にとっては調子が良い時期、本来の自分と感じられるため、病気とは認識されにくいのが特徴です。しかし、この後に必ずやってくる深いうつ状態との落差が激しく、うつの期間も長引きやすいため、患者様本人の苦痛はⅠ型同様に深刻です。

発症のメカニズム:なぜ気分の波が起きるのか

詳細な原因はまだ研究段階ですが、現在の医学では遺伝的要因と環境的要因の相互作用によって発症すると考えられています。

・脳内の情報伝達トラブル脳細胞内のカルシウム濃度の調整異常や、ミトコンドリアの機能障害などが関係しているという説が有力です。
・概日リズム(体内時計)の乱れ双極性障害の方は体内時計の遺伝子が変異しているケースも報告されており、徹夜やシフト勤務などの生活リズムのズレが発症や再発の強力なトリガー(引き金)になります。

つまり、もともと波が起きやすい体質(脳の特性)を持っている人が、ストレスや不規則な生活などの負荷を受けた時に発症するという図式です。

双極性障害の治療法①:薬物療法(気分安定薬)

双極性障害の治療の主役は薬物療法です。精神療法(カウンセリング)も有効ですが、まずは薬で脳内の物質バランスを整えなければ、どのような心理療法も効果を発揮しません。

気分安定薬の役割

気分安定薬(リチウム、バルプロ酸、ラモトリギンなど)は、行き過ぎた躁を抑え、落ち込んだうつを持ち上げ、波の振れ幅を小さくする薬です。今の症状を治すだけでなく、将来の再発を防ぐ予防薬としての役割も担っています。

非定型抗精神病薬の併用

近年では、気分の波を鎮める効果を持つ新しいタイプの抗精神病薬も第一選択として使われます。特にうつ状態からの回復や、維持療法において高い効果を発揮します。

【重要】
薬は再発防止装置です症状が良くなったからといって、自己判断で断薬することは極めて危険です。双極性障害の再発率は非常に高く、薬をやめると数年以内にほとんどの方が再発するというデータがあります。一生飲み続けるのかと不安になるかもしれませんが、寛解(症状がない状態)が長く続けば、医師と相談の上で減薬することは可能です。まずは再発させないことを最優先に考えましょう。

双極性障害の治療法②:生活リズムと再発予防

薬で波を抑えつつ、ご自身で波をコントロールする技術を身につけます。これを心理社会的治療と呼びます。

生活リズム

毎日同じ時間に起き、同じ時間に寝ることが大切です。そして食事や対人交流の時間も規則正しく保つことです。
脳の体内時計を一定に保つことで、気分の波が安定しやすくなります。まずは起床時間を固定することから始め、生活のログ(記録)をつける習慣をつけると、ご自身の波の予兆に気づきやすくなります。

再発の初期サインを見逃さない

再発を完全に防ぐことは難しいですが、症状が重くならないようにすることは可能です。

・睡眠時間が減ってきたのに元気だ(躁のサイン?)
・本を読むのが億劫になってきた(うつのサイン?)

こうした自分なりの初期サインをご家族や主治医と共有しておくことで、薬を微調整し、大きな再発を防ぐことができます。

双極性障害の方への家族の接し方・サポート

患者様の激しい気分の変化に、ご家族が巻き込まれて疲弊してしまうケースも少なくありません。大切なのは、本人の人格と病気の症状を切り離して考えることです。
激しい浪費や攻撃的な言動は、病気がさせていることです。まともに受け止めすぎず、今は脳がヒートアップしている状態なんだなと一歩引いて見てあげてください。そして、「最近あまり眠れていないようだけど、大丈夫?」といった、事実に基づいた声かけをしてあげてください。

【まとめ】正しい治療で波は乗りこなせる

双極性障害は、治療を中断すると再発を繰り返す厄介な病気ですが、適切な治療を継続すれば、症状をコントロールしながら仕事や家庭生活を維持できる病気でもあります。

・うつ病とは治療法が異なるため、正確な診断が不可欠。
・気分安定薬による継続的な治療がカギ。・規則正しい生活リズムが脳を守る。

もしかして?と思われた方は、ぜひ当クリニックへご相談ください。
各務ヶ原こころのクリニックでは、双極性障害をはじめとした気分の波の相談や治療に対応しております。気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。